会報31Book

BOOKE紹介

小沢 浩 著
  「愛することからはじめよう~小林提樹と島田療育園の歩み」

紹介者:三木 英子

(障害児地域デイサービス「こあらくらぶ」顧問)

 都立八王子小児病院のNICUでわが子は命を救っていただきました。当時、小沢浩先生は小児病院の新生児病棟に勤務されていました。あれから20年、小沢先生は、ずっと重症心身障害児のために力を注いでくださっています。現在、「島田療育センターはちおうじ」の所長となった小沢先生が本を執筆されました。それが「愛することからはじめよう小林提樹と島田療育園の歩み」です。歴史、硬い本というイメージで、なかなか読めずにいたのですが、読み始めたらどんどん引き込まれてしまう、とても読みやすい本でした。そして、小沢先生の熱い思いが伝わってきました。皆さんに読んでもらいたい本です。この本の印税はすべて島田療育センターの子どもたちのために使われるそうです。


 日本で最初の重症心身障害児施設、島田療育センター(旧島田療育園)は創立50周年を迎えました。半世紀前までは、重症心身障害児はどの法律でも保護される対象ではなかったのです。その障害児を守るために奔走した初代園長小林提樹先生をはじめ、私財を投げ出し設立に力を注いだ島田夫妻、職員、家族、重症心身障害児が歩んできた歴史が描かれています。多くの方々の涙ぐましい努力があって島田療育園が誕生したのです。小林先生の信仰と障害児との出会い、先生のお子さんの病気と看取り、動く重症心身障害児の島田良夫さんとご両親との出会い、偏見の多い時代に注がれた愛…涙なくしては読めない内容でした。


 今、私たちは、島田療育センターはあるのが当たり前、訓練やデイサービス、市の緊急一時保護制度等も利用できる環境にあります。児童福祉法に重症心身障害児について明記され、私たちの子どもは守られています。このことがなんてありがたいことなのかと改めて思い知らされました。ただ島田療育センターの歴史を知ることにとどまらず、障害者に関わる私たちにできることは何か、やらなければならないことは何か考えさせられる本でした。
 そして、島田療育センターはちおうじの発展とともに、この本の続編、小沢先生の子どもたちに対する熱い想いがずっしり書かれた本がいつの日か出版されることを期待しています。