なめとこ山 会報65号



第61回

コロナの時代を生きる 2

  皆さんこんにちは。毎日、暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。今回の「なめとこ山通信」は前回の続編として、うちの娘と話したことを載せてみます。「」が私で「」が娘です。夏休みの家時間を、ダラダラと過ごした足跡となりました。お時間ありましたら、お付き合いください。

:これからの生活はどうなるかってことで、話してみよう。じゃ、まず、1学期の学校 は、どうだった? 
:コロナってことで、いろいろうるさかった。中休みには生活指導の先生が教室に来て、 「そこ! 密です!」て言ってくる。
:みんな言うこと聞くの?
:しぶしぶかな。クラスごとに差があって、「密なので校庭に出て!」と言われて、私 のクラスは全員出たけれど、隣のクラスはほとんど出なかったりとか。
:みんながみんな、言われて校庭に出てしまうのもヘンだしね。3密って、密集と密接 と、あとなんだっけ。
:密閉。校庭では、上級生はバレーボールとかしてる。私たちは鬼ごっことか。あそう そう、友達が部活の時間に、校舎の外周をマスク外して走っていたら、学校に「お宅の 生徒はコロナを振りまいているのか」と電話があったらしくて、外周を走る時にもマス クをすることになっちゃったんだって。
:そりゃ、かわいそうだね。マスク警察ってやつだよね。学校の様子で、他には何かあ る?
:廊下には、ソーシャルディスタンスを表した2mのマグロのポスターとスズランテー プがそこら中に貼ってある。
:!!それは、効果あるの?
:全くないと思う。あと、体温カードというのがあるんだけれど、それも意味ないと思 うの。その場で計る訳ではないし、カードを毎日見せるのでもないので、真面目な子以 外は、毎日は計っていないと思う。
:うち(の勤務先の都立高校)も同じだよ。体温は毎日手帳に書いてくることになって いるけれど、手帳を持ってこなくなるし、計ったの?と聞けば、「計りました。36.5 ℃です。」「計りました。36.5℃です。」「36.5℃です。」・・・。ってなるんだよ。 どうなのそれ?
:じゃぁなんで、続けるの? たぶん先生 たちも、計っていないことわかっているん じゃないの? 立前なんじゃないの?
:だよね。大人のすることなんて、そんな もんなんだよ。それでも、みんなマスクを して、自粛生活をして、守らなければいけ ないことは守ってる。それって、大人でしょ。 その上で、新しい生活って、どうしたらい いだろうって、みんなが考えるべきなんだ と思うよ。何を信じたらいいのかってこと を。
:コロナ絶滅を信じて?
:コロナはなくならないと思うんだ。ワクチンが出来ても、また次の新しいウイルスが 出てくるだろうし。例えばインフルエンザは、ワクチンは出来ているけれど、インフル で亡くなる人の方が、今のコロナウイルスで亡くなる人より普通に多いんだって。 2019年は、約2000人の人がインフル関連で亡くなっているよ。
:なるほど。
:じゃぁ、いつまでマスクをし続けるのか、いつまで自粛生活をするのかって、ことだ よね。
:そのうちそれが、当たり前になるんじゃない? ウィズ・コロナって、そういうこと だよね。
:そうだよねぇ。それが、新しい日常なのかなぁ。じゃ、この夏休みって、どんな感じ?
:外出自粛生活で、毎年恒例のプールにも行かないし、ボーイスカウトのキャンプもな いし、学校の行事もないから、普通の土日みたい。
:どこか行きたいところはある?
る:密を避けられるキャンプかな〜。
:どこに行っても暑いよ。涼しくなったらどこに行きたい?
:キャンプ!!!
:キャンプ、いいね! 俺は、外国にも行きたいな。外国に、自由に行けるようになる 日常は、いつ来るのかな。今の若い人は、本当にかわいそうだと思うよ。
:私は、外国はちょっと・・・。外国に行くには、飛行機に乗るじゃん。飛行機はハイ ジャックとか事故とかリスクが高いよ。昨日もテレビで観た。
:東京にいる方が、飛行機に乗るよりもリスクが高いと思うよ。そんなことを言ってた ら、世界を見に行くことはできないよ。
:はい。大人になる前に、まず、心配性をどうにかする。

:はい。今年の夏もメチャクチャ暑いけれど、どうしてだろうね。
:異常気象だから?
:なんで異常気象なの?
:地球温暖化が進んでいるから。
:だよね。7月から、レジ袋が有料になったのはどうして?
:ゴミになるから。私が買い物に行く時は、エコバッグを持っている人をよく見るよ。 私も持ってるよ。
:エコバッグを持っていくのは何のため?
:レジ袋を使わないようにするため。
:だからぁ、レジ袋が有料になったのはどうして? ゴミを減らすため。燃やす時の二 酸化炭素を出さないため。地球温暖化を防ぐためでしょ。地球温暖化を進めないために、 せめてレジ袋をやめようってことだよね。
:そうだねぇ。人類は、木をどんどん切っているって社会科の授業で習った。「ざんね んないきもの事典」に、「環境が変われば、どんな生き物でも絶滅する。」って書いて あって、「進化の道は、あともどりできない一方通行」だから、地球がメチャクチャ暑 くなったら人間は滅びるし、環境をこわさないようにしなくちゃダメだって書いてあっ た。でも今、暑いからクーラーつけましょうって言われて、みんなそうしている。けれ ど、もうその生活は手放せないよね。今から偉い人が、「皆さんクーラーやめましょう」っ て言っても、やめないよね。
:だね。人間は、どこかで何かを間違っちゃったんだよ。
:・・・どこで?何を?
:人間は元々は、狩猟採集生活をしていたんだけれど、生活様式を農耕牧畜生活に変え てから、一つの場所から離れられなくなってしまった。おかげで、どんどん子孫を増や せることになるんだけれど、ますます、同じ場所での生産性を高めていかないとそこで の生活を維持していけなくなってしまうんだ。ていうようなことが、「サピエンス全史」っ て本に書いてあったよ。
:昔の生活になんて、もう戻れないよね・・・。
:人間は、コミュニティーを作って生きる動物なんだよね。集団を作らないと生きてい けないとも言うし、コミュニケーションによって発展してきたとも言えるかな。
:難しいね。結局、人間はこの後、どうなると思う?
:どうなるだろうね。・・・アラスカに棲む、カリブーとムースっていう大型の鹿を知っ てる? カリブー(トナカイ)は、餌を求めて夏と冬に、集団で大規模な移動をするん だ。一方のムース(ヘラジカ)は、大きな群れは作らないし、大移動もしない。決まっ た森で生活するんだ。
:人間は、どちらでもないね。大きな群れを作るけれど、移動はしない。
:だから、人間はきっと滅びるよ。じゃぁ、新しい生活はどうすればいいって、話を最 初に戻そう。新しい生活ってなんだろう?
:二酸化炭素を出さない生活かな?
:あとは?
:私たちが出来ることからやる生活!
:そうかもね。
:SDGsって知ってる? 学校にポスターがたくさん貼られてるよ!
:全部言える?
:6番の「安全な水とトイレを世界中に」だけ、社会の授業で習ったから言えるけど、 全部は言えない。
:俺も言えないな・・・。人間が滅びないために、我が家からでも何かしていこう!
:有言実行でね!
:はい。それではお開きです。
:はい、ありがとうございました!

 SDGsの標語、以前も載せていただきましたが、再掲です。皆さんも、新しい生活について、考えていきましょう。

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